適量の摂取により、冠動脈疾患や心不全の予防に寄与する脂肪酸 111回薬剤師国家試験問20の解説

111回薬剤師国家試験 問20
適量の摂取により、冠動脈疾患や心不全の予防に寄与するのはどれか。1つ選びなさい。
1 ステアリン酸
2 ドコサヘキサエン酸
3 エライジン酸
4 パルミチン酸
5 アラキドン酸

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111回薬剤師国家試験 問 20 解答解説

 

適量の摂取により、
冠動脈疾患や心不全の予防に寄与するのは、
選択肢2のドコサヘキサエン酸です。

 

111回薬剤師国家試験問20の解説 適量の摂取により、冠動脈疾患や心不全の予防に寄与するのはどれか

 

 

以下で各選択肢について解説します。

1 ステアリン酸

 

ステアリン酸は飽和脂肪酸です。
飽和脂肪酸は摂取過剰により脂質異常症や動脈硬化性疾患との関連が問題となるため、
冠動脈疾患や心不全の予防に寄与する代表的な脂肪酸ではありません。

 

よって誤りです。

 

2 ドコサヘキサエン酸

 

ドコサヘキサエン酸(DHA)はn-3系多価不飽和脂肪酸です。
エイコサペンタエン酸(EPA)とともに魚油に多く含まれ、適量の摂取により、
冠動脈疾患や心不全の予防に寄与すると考えられています。

 

よって正しいです。

3 エライジン酸

 

エライジン酸は トランス脂肪酸 の一種です。
トランス脂肪酸は、LDLコレステロールを増加させ、HDLコレステロールを低下させる方向に働くため、冠動脈疾患のリスクを高める脂肪酸として知られています。

 

したがって、予防に寄与するどころか、むしろ摂取を控えるべき脂肪酸です。

 

よって誤りです。

 

エライジン酸は、代表的な 工業由来トランス脂肪酸 です。
炭素数18、二重結合1つをもつ一価不飽和脂肪酸(C18:1)であり、
構造上は、オレイン酸のトランス型異性体です。
・オレイン酸:cis-9-オクタデセン酸
・エライジン酸:trans-9-オクタデセン酸

 

111回薬剤師国家試験問20の解説 適量の摂取により、冠動脈疾患や心不全の予防に寄与するのはどれか

 

cis型では、二重結合の同じ側に炭素鎖があるため、分子が折れ曲がります。
オレイン酸はcis型なので、分子が曲がった形になります。

 

一方、trans型では、二重結合の反対側に炭素鎖があるため、分子が比較的まっすぐになります。
エライジン酸はtrans型なので、飽和脂肪酸に近い直線的な形になります。

 

この「まっすぐな形」になることが、脂質の性質や生体への影響に関係します。

 

エライジン酸は、代表的な 工業由来トランス脂肪酸 です。
特に、植物油に水素添加を行って硬化油を作る過程で生じます。
そのため、マーガリン、ショートニング、これらを使った加工食品に含まれることがあります。

4 パルミチン酸

 

パルミチン酸は 飽和脂肪酸 です。
飽和脂肪酸の摂取過剰は、LDLコレステロール上昇を介して動脈硬化性疾患のリスク増加につながります。

 

冠動脈疾患や心不全の予防に寄与する脂肪酸ではありません。

 

よって誤りです。

 

5 アラキドン酸

 

アラキドン酸は n-6系多価不飽和脂肪酸 です。
生体内でプロスタグランジン、トロンボキサン、ロイコトリエンなどのエイコサノイドの前駆体となります。

 

重要な脂肪酸ではありますが、冠動脈疾患や心不全の予防に寄与する代表的な脂肪酸としては、n-3系脂肪酸であるDHAの方が適切です。

 

よって誤りです。

 

 

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