クッシング症候群の症状として認められるのは 111回薬剤師国家試験問63の解説
111回薬剤師国家試験 問63
クッシング症候群の症状として認められるのはどれか。
1つ選びなさい。
1 野牛肩
2 低血圧
3 低血糖
4 皮膚肥厚
5 発汗低下
クッシング症候群は、副腎皮質ホルモンであるコルチゾールが過剰になる病態です。
コルチゾール過剰による脂肪分布異常
コルチゾール過剰では、その作用によって脂肪の分布が変わり、
内臓,体幹,お腹,顔,首まわり,肩背部に脂肪がつきやすくなります。
一方、手足では脂肪が減りやすくなります。
コルチゾールの蛋白異化作用による筋萎縮と筋力低下
コルチゾールには 蛋白異化作用 があります。
筋肉のタンパク質をアミノ酸に分解し、
肝臓へ運んでグルコースを新しく作り出す「糖新生」を促進します。
コルチゾール過剰では、手足の筋肉が減るため、
手足が細くなり、筋力が低下します。
コルチゾール過剰による血糖上昇と脂肪蓄積
コルチゾール過剰では、肝臓で糖新生が亢進し、血糖が上がりやすくなります。
また、インスリンの作用に拮抗するため、インスリン抵抗性が起こります。
血糖が上がると、それを下げるためにインスリン分泌が増えます。
インスリンは脂肪合成を促すホルモンでもあるため、
結果として脂肪蓄積が進みやすくなります。
さらに、コルチゾール過剰では、
食欲が増え、体重増加につながることがあります。
クッシング症候群の身体所見
クッシング症候群の代表的な身体所見として、
以下のものがあります。
・満月様顔貌(ムーンフェイス)
顔に脂肪が沈着して、丸くふっくらした満月のような顔つきになることです。
・中心性肥満
お腹や体幹部は太っているが、手足は細いという体型です。
・野牛肩(バッファローハンプ)
首の後ろから肩にかけて脂肪が沈着して盛り上がる状態です。
以下では他の誤りの選択肢について解説します。
2 低血圧
クッシング症候群では、むしろ 高血圧 がみられやすいです。
コルチゾールが過剰になると、
ミネラルコルチコイド様作用によりナトリウム貯留が起こったり、
血管がカテコールアミンに反応しやすくなったりして、血圧が上昇します。
3 低血糖
クッシング症候群では、高血糖 がみられやすいです。
コルチゾールは糖新生を促進し、インスリン作用に拮抗します。
コルチゾールが過剰になると、血糖値が上昇し、
糖尿病様の状態になることがあります。
4 皮膚肥厚
クッシング症候群では、皮膚菲薄化が起こります。
コルチゾール過剰により蛋白異化が進み、
皮膚や結合組織が弱くなります。
その結果、以下の症状がみられます。
・皮膚菲薄化
・赤色皮膚線条(腹部に赤い筋ができる)
・下出血しやすい
・創傷治癒が遅れる
5 発汗低下
発汗低下 は、クッシング症候群の典型症状ではありません。
過剰なコルチゾールによって、新陳代謝が亢進したり、
交感神経が過剰に興奮したりして、
むしろ多汗を引き起こすことがあります。
