腸管出血性大腸菌感染症の重篤化と関連性が高いのは 111回薬剤師国家試験問65の解説

111回薬剤師国家試験 問65
腸管出血性大腸菌感染症の重篤化と関連性が高いのはどれか。
1つ選びなさい。
1 トキシックショック症候群
2 溶血性尿毒症症候群
3 過敏性腸症候群
4 抗リン脂質抗体症候群
5 悪性症候群

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111回薬剤師国家試験 問65 解答解説

 

腸管出血性大腸菌感染症の重篤化と関連性が高いのは、
選択肢2の溶血性尿毒症症候群です。

 

111回薬剤師国家試験問65の解説 腸管出血性大腸菌感染症の重篤化と関連性が高いのは

 

 

「溶血性尿毒症症候群」は英語で Hemolytic Uremic Syndrome と言います。
医療現場などでは、頭文字をとって HUS と略されます。

 

腸管出血性大腸菌感染症は、
代表的には O157 などによる感染症で、
ベロ毒素を産生することが特徴です。

 

以下で解説します。

 

腸管出血性大腸菌は比較的、酸に強く、腸管内でベロ毒素を産生します。
この毒素によって腸管に炎症が起こり、激しい腹痛、下痢、血便などを来します。

 

重症化した場合に特に問題となる合併症が、溶血性尿毒症症候群:HUS です。

 

ベロ毒素の重篤な作用で特に重要なのが、血管内皮細胞への障害です。
ベロ毒素が血流に乗って全身へ移行すると、血管内皮細胞、とくに腎臓の糸球体の血管内皮細胞が障害されます。さらに、血管内皮が傷つくと、そこへ血小板が集まり、小さな血栓ができやすくなります。
全身の微小血管内で血小板が消費され、微小血管の血栓症が生じます。
特に腎臓の毛細血管が詰まることで、急激に腎機能が低下します。

 

また、赤血球が血管内を通ろうとした際、この血栓によって破壊されやすくなります。
そのため、溶血性貧血も起こります。

 

以上より、
溶血性尿毒症症候群は、主に以下の3つを特徴とします。

 

溶血性貧血

赤血球が壊されて貧血になる。

 

血小板減少

血小板が消費され、出血しやすくなる。

 

急性腎障害

腎臓の細い血管が障害され、尿量低下や腎不全を起こす。

 

以下では他の選択肢について解説します。

 

1 トキシックショック症候群

黄色ブドウ球菌やA群溶血性レンサ球菌などの毒素によって起こる重篤なショック状態です。
腸管出血性大腸菌感染症の代表的な重症合併症ではありません。

 

3 過敏性腸症候群

検査で異常が見当たらないにもかかわらず、
下痢や便秘などを繰り返す機能性消化管障害です。
腸管出血性大腸菌感染症の代表的な重症合併症ではありません。

 

4 抗リン脂質抗体症候群

自己免疫性に、血液中に「抗リン脂質抗体」という自己抗体が存在することで、
全身の血管で血液が固まりやすくなり、
血栓症(脳梗塞や深部静脈血栓症など)や妊娠合併症(習慣流産など)を繰り返す疾患です。
腸管出血性大腸菌感染症の代表的合併症ではありません。

 

5 悪性症候群

抗精神病薬などの使用に関連して起こる、
発熱、筋強剛、意識障害などを特徴とする疾患です。
腸管出血性大腸菌感染症とは関連が低いです。

 

 

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