薬価改定の基礎資料である市場実勢価格を調べるための調査の対象となる主たる取引 111回薬剤師国家試験問78の解説
111回薬剤師国家試験 問78
図は、医薬品供給の流れの一例を示している。
薬価改定の基礎資料である市場実勢価格を調べるための調査の対象となる主たる取引はどれか。
1つ選びなさい。

111回薬剤師国家試験 問78 解答解説
薬価改定の基礎資料である市場実勢価格を調べるための調査の対象となる主たる取引は、
Cです。

以下で解説します。
既収載品の薬価改定の仕組み
すでに薬価がついている既存収載品は、
実際の市場でどのくらいの価格で取引されているかを調査し、
その結果をもとに改定されます。
このとき使われる原則的な方式が、市場実勢価格加重平均値調整幅方式です。
その計算は次のようになります。
改定後薬価
= 税抜き市場実勢価格の加重平均値 × 消費税分 + 調整幅
市場実勢価格とは、薬価基準に載っている医薬品が、
実際の流通でいくらで取引されているかを示す価格です。
市場実勢価格を調べるのに、主に調査対象となるのは、
卸売販売業者 → 医療機関・保険薬局
の取引価格です。
薬価は国が決める公定価格ですが、
実際には医療機関や薬局が卸から購入するとき、
薬価より低い価格で取引されることが多いです。
この実際の取引価格を調査し、薬価との乖離を把握して、
次回の薬価改定に反映します。
市場実勢価格の加重平均値とは
また、薬価改定では、価格だけでなく販売数量も考慮します。
そのため、改定後薬価の計算では、
市場実勢価格の単純平均ではなく、加重平均が用いられます。
加重平均とすることにより、数量の多い取引価格が平均に強く反映されます。
税抜き市場実勢価格の加重平均値は、計算式で表すと、
税抜き市場実勢価格の加重平均値
= Σ(税抜き取引価格 × 取引数量) ÷ Σ取引数量
つまり、
「価格 × 数量」を全部足して、総数量で割る
ということです。
調整幅とは
調整幅は、「医薬品流通の安定のための加算額」とされ、
具体的には改定前薬価の2%に相当する額です。
調整幅は、急激に薬価を下げすぎて医薬品流通が不安定になることを避けるために加算されます。
以上の通り、通常の薬価改定は、
基本的には薬価を市場価格に近づけて引き下げる仕組みです。
ただし、医療上必要性が高いのに採算が合わない医薬品については、
通常の市場実勢価格改定とは別に、
不採算品再算定や基礎的医薬品などの仕組みによって薬価が維持・引上げされる場合があります。