成人に対する胸骨圧迫において、最も適切な圧迫部位 111回薬剤師国家試験問86の解説
111回薬剤師国家試験 問86
成人に対する胸骨圧迫において、最も適切な圧迫部位はどれか。
1つ選びなさい。

111回薬剤師国家試験 問86 解答解説
成人に対する胸骨圧迫において、最も適切な圧迫部位は、
選択肢2です。

成人に対する胸骨圧迫で最も適切な圧迫部位は、胸骨の下半分です。
図では、胸の中央にある胸骨上で、剣状突起(図のC)より上に位置するAが該当します。
以下で胸骨圧迫について解説します。
胸骨圧迫とは、一般にいう心臓マッサージのことで、
胸骨圧迫は、心停止時に心臓のポンプ機能が失われた状態で、
外から胸を圧迫して脳や心臓に最低限の血流を送るために行います。
心肺蘇生では、
人工呼吸よりもまず質の高い胸骨圧迫を絶え間なく続けることが重要です。
成人で心停止が疑われる場合の流れは、
概ね次のように考えます。
まず安全確保が優先です。
火災・感電・交通事故現場など、救助者にも危険がある場合は、
安全な場所に移せるなら移してから救命処置を行います。
安全が確保できたら、反応と呼吸を確認します。
肩をたたいて呼びかけ、反応がなければ周囲に応援を求め、
119番通報とAEDを依頼します。
呼吸がない、または普段どおりの呼吸でない場合は、
すぐに胸骨圧迫を始めます。
胸骨圧迫の部位
胸骨圧迫の部位は「胸骨の下半分」とされ、
図のAの位置が該当します。

具体的には、胸の中央、左右の乳頭を結ぶ線のあたりを目安にし、
胸骨上に手の付け根を置くと考えると分かりやすいです。
図のCの剣状突起の上を圧迫してしまうと、肝臓などを損傷する危険があります。
圧迫の方法
成人では、片方の手の付け根を胸骨の下半分に置き、その上にもう一方の手を重ねます。
肘を伸ばし、肩が手の真上に来るようにして、体重を使って垂直に圧迫します。
圧迫の深さは、成人では約5 cm、ただし6 cmを超えないようにします。
テンポは1分間に100?120回です。
質の高い胸骨圧迫のポイント
重要なのは、次の4点です。
1つ目は、強く押すことです。浅い圧迫では十分な血流が得られません。
2つ目は、速く押すことです。目安は100〜120回/分です。
3つ目は、圧迫後に胸を完全に戻すことです。
胸が戻ることで心臓に血液が戻り、次の圧迫で血液を送り出せます。
4つ目は、中断をできるだけ短くすることです。
人工呼吸やAED操作の際も、胸骨圧迫の中断は最小限にします。
人工呼吸との関係
人工呼吸ができる場合は、
成人では一般に胸骨圧迫30回:人工呼吸2回の比で行います。
人工呼吸に自信がない場合や感染リスクが気になる場合は、
まず胸骨圧迫だけでも開始することが重要です。
AEDとの関係
AEDが到着したら、電源を入れて音声指示に従います。
電極パッドを貼っている間も、可能な限り胸骨圧迫を続けます。
AEDが「離れてください」と指示したときだけ離れ、
ショック後はすぐに胸骨圧迫を再開します。