理想気体とファンデルワールスの状態方程式に関する記述 111回薬剤師国家試験問91の解説
111回薬剤師国家試験 問91
ファンデルワールスの状態方程式( 1 )は、
理想気体の状態方程式を実在気体について補正した式の1 つである。
理想気体とファンデルワールスの状態方程式に関する記述として正しいのはどれか。
2つ選びなさい。

111回薬剤師国家試験 問91 解答解説
理想気体とファンデルワールスの状態方程式に関する記述として正しいのは、
選択肢3と4です。

以下で解説します。
選択肢1
1 理想気体では、気体分子間の相互作用の大きさを正の一定の値と仮定している。
これは誤りです。
理想気体では、気体分子間に相互作用はないと仮定します。
つまり、分子間引力も斥力も考えません。
選択肢2
2 aは気体分子の衝突頻度を表す。
これは誤りです。
a は気体分子間の引力の大きさに関係する定数です。
衝突頻度を表すものではありません。
詳しくは選択肢4で後述します。
選択肢3
3 bは気体分子1 mol がもつ排除体積を表す。
これは正しいです。
詳しくは選択肢5で後述します。
選択肢4

これは正しいです。

は、気体分子間の相互作用、
特に分子間引力を考慮して補正した圧力です。
理想気体では、気体分子どうしの間に引力も斥力もないと仮定します。
しかし実在気体では、分子同士に分子間相互作用が働きます。
この引力があると、容器の壁に向かって飛んでいく分子は、
周囲の分子から内側へ引っ張られます。
その結果、壁に衝突するときの勢いが弱くなり、
実際に観測される圧力 p は、理想気体の場合よりも小さくなります。
そこで、理想気体に近い状態として扱うために、
分子間相互作用で低下した分を加えて補正します。
その補正が

です。
つまり、

は、分子間引力によって低下した圧力の補正分を表します。
a は気体分子間の引力の大きさに関係する定数です。
分子間力で弱くなった分、圧力pにaの項を足して補正します。
a が大きい気体ほど、分子間引力が強いことを意味します。

は、気体の濃度のようなものです。
分子間引力の影響は、分子どうしが近くに多く存在するほど大きくなります。
つまり、分子数が多く、体積が小さいほど、分子間の相互作用は強くなります。
そのため、圧力補正項は濃度の二乗に比例して

という形になります。
選択肢5
5 (V − nb) は、気体分子間の相互作用を考慮して補正した体積である。
これは誤りです。
V − nb
は、気体分子間の相互作用ではなく、
気体分子自身の体積を考慮した補正です。
理想気体では、気体分子そのものの大きさを 0 と考えます。
しかし、実在気体の分子には実際には大きさがあります。
そのため、容器の体積 V 全体を分子が自由に動き回れるわけではありません。
そこで、ファンデルワールスの式では
V をそのまま使わず、
V − nb と補正します。
これは、
分子が実際に動き回れる体積
= 容器の体積−分子自身が占めるため使えない体積
という意味です。
bは気体分子そのものが占める体積、すなわち排除体積に関係する定数です。
排除体積とは、分子自身の大きさのために、
他の分子が入り込めない体積です。
b は気体分子 1 mol あたりの排除体積です。
したがって、気体が n mol あると、
排除体積は nb
になります。
そのため、分子が自由に運動できる体積は
V − nb
となります。