黄連解毒湯に含まれる化合物 111回薬剤師国家試験問109の解説

111回薬剤師国家試験 問109
「黄連解毒湯エキス」は日本薬局方において、
以下に示す化合物A〜Cの含量が規定されている。
これらの化合物に関する記述として、正しいのはどれか。2つ選びなさい。
なお、黄連解毒湯の構成生薬は、オウレン、オウゴン、オウバク、サンシシである。

 

111回薬剤師国家試験問109の解説 黄連解毒湯に含まれる化合物

 

1 化合物Aのアグリコンは、イソフラボン骨格を有している。
2 化合物Bのアグリコンは、イソプレノイド経路で生合成される。
3 化合物Cは、腸間膜静脈硬化症の原因物質と考えられている。
4 化合物Aと化合物Bは、いずれも根を利用部位とした生薬の主要成分である。
5 化合物Cを主要成分とする生薬は、黄連解毒湯に2 種類配合されている。

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111回薬剤師国家試験 問109 解答解説

 

正解は選択肢2と5です。

 

111回薬剤師国家試験問109の解説 黄連解毒湯に含まれる化合物

 

以下で解説します。

選択肢1

1 化合物Aのアグリコンは、イソフラボン骨格を有している。

 

これは誤りです。

 

化合物Aはオウゴンの主要成分のバイカリンです。
バイカリンのアグリコン(非糖部)であるバイカレインは、
フラボン骨格をもちます。

 

フラボンとイソフラボンでは、B環の結合位置が異なります。

 

フラボン:B環がC環の2位に結合
イソフラボン:B環がC環の3位に結合

 

111回薬剤師国家試験問109の解説 黄連解毒湯に含まれる化合物

 

上の図で示す通り、
バイカリンのアグリコン(非糖部)のバイカレインは、
フェニル基が2位に結合しているため、
フラボン骨格を有すると考えられます。

 

なお、バイカレインはフラボノイドなので、
シキミ酸経路と酢酸−マロン酸経路の複合経路で生合成されます。

 

選択肢2

2 化合物Bのアグリコンは、イソプレノイド経路で生合成される。

 

111回薬剤師国家試験問109の解説 黄連解毒湯に含まれる化合物

 

これは正しいです。

 

化合物Bはサンシシの主要成分のゲニポシドで、
アグリコン(非糖部)はゲニピンです。

 

ゲニピンはイリドイドであり、
モノテルペノイドに分類されます。
モノテルペノイドは、
5つの炭素からなるイソプレン単位を2つ結合した炭素数10の化合物群で、
イソプレノイド経路によって生合成されます。

 

111回薬剤師国家試験問109の解説 黄連解毒湯に含まれる化合物

選択肢3

3 化合物Cは、腸間膜静脈硬化症の原因物質と考えられている。

 

111回薬剤師国家試験問109の解説 黄連解毒湯に含まれる化合物

 

これは誤りです。

 

化合物Cはオウレンとオウバクの主要成分のベルベリンです。
腸間膜静脈硬化症との関連が問題になるのは、ベルベリンではなく、
サンシシの主要成分である化合物Bのゲニポシド
およびその代謝物ゲニピンです。

 

腸間膜静脈硬化症は、
大腸から血液を戻す腸間膜静脈や腸壁内の静脈が線維化・石灰化し、
腸管が慢性的な虚血状態となる疾患です。
日本では、サンシシ(山梔子、クチナシの果実)を含む漢方薬の長期服用との関連が強く指摘されています。
サンシシの主要成分であるゲニポシドは、
腸内細菌によって加水分解され、アグリコンのゲニピンになります。
このゲニピンやその反応生成物が大腸から吸収され、
腸間膜静脈側に到達して、静脈壁の線維化や硬化を引き起こすと考えられています。

 

選択肢4

4 化合物Aと化合物Bは、いずれも根を利用部位とした生薬の主要成分である。

 

111回薬剤師国家試験問109の解説 黄連解毒湯に含まれる化合物

 

これは誤りです。

 

化合物A:バイカリン
生薬:オウゴン
基原植物:シソ科コガネバナ
利用部位:根
アグリコン:バイカレイン
分類:フラボノイド配糖体

 

バイカリンの糖部分はカルボキシ基があるため、
グルクロン酸であることも特徴です。

 

化合物B:ゲニポシド
生薬:サンシシ
基原植物:アカネ科クチナシ
利用部位:果実
アグリコン:ゲニピン
成分分類:イリドイド配糖体

選択肢5

5 化合物Cを主要成分とする生薬は、黄連解毒湯に2種類配合されている。

 

111回薬剤師国家試験問109の解説 黄連解毒湯に含まれる化合物

 

これは正しいです。

 

化合物Cはベルベリンであり、
オウレンとオウバクの主要成分です。

 

オウレン
基原植物:キンポウゲ科キクバオウレン、セリバオウレン、コセリバオウレンなど
利用部位:根茎

 

オウバク
基原植物:ミカン科キハダ、シナキハダ
利用部位:樹皮

 

 

ベルベリンは構造からイソキノリンアルカロイドに分類されます。
イソキノリンアルカロイドは、イソキノリン骨格、
またはそれに由来する骨格をもつアルカロイドの総称です。

 

 

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