肝機能に関する記述 111回薬剤師国家試験問111の解説
111回薬剤師国家試験 問111
肝機能に関する記述として、正しいのはどれか。2つ選びなさい。
1 アンモニアから尿素を合成する。
2 脂肪酸からコール酸とケノデオキシコール酸を合成する。
3 3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリル CoA(HMG-CoA)還元酵素の作用によりコレステロールを合成する。
4 グリコーゲンの β 酸化によりグルコースを産生する。
5 キロミクロンを合成して血中に分泌する。
選択肢1
1 アンモニアから尿素を合成する。
これは正しいです。
アミノ酸が分解されると、毒性の強いアンモニアが生じます。
肝臓はアンモニアを取り込み、
主に肝細胞の尿素回路によって、
毒性の低い尿素へ変換します。
生成した尿素は血液によって腎臓へ運ばれ、尿中に排泄されます。
選択肢2
2 脂肪酸からコール酸とケノデオキシコール酸を合成する。
これは誤りです。
コール酸とケノデオキシコール酸は、
肝臓で作られる代表的な一次胆汁酸です。
ただし、原料は脂肪酸ではなく、コレステロールです
合成された一次胆汁酸は、
グリシンまたはタウリンと抱合されて胆汁中に分泌されます。
腸内細菌の作用を受けると、
デオキシコール酸やリトコール酸などの二次胆汁酸になります。
二次胆汁酸は腸管から吸収され、肝臓に戻ります。
これを胆汁酸の腸肝循環と言います。
選択肢3
3 3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリル CoA(HMG-CoA)還元酵素の作用によりコレステロールを合成する。
これは正しいです。
肝臓は、コレステロール合成の中心的な臓器です。
コレステロール合成では、HMG-CoA還元酵素が次の反応を触媒します。

メバロン酸からコレステロールが合成されます。
HMG-CoA還元酵素は、コレステロール合成経路の律速酵素です。
スタチン系薬は、
このHMG-CoA還元酵素を阻害することで肝臓内のコレステロール合成を低下させます。
選択肢4
4 グリコーゲンの β 酸化によりグルコースを産生する。
これは誤りです。
β酸化されるのはグリコーゲンではなく、脂肪酸です。
脂肪酸のβ酸化はミトコンドリアのマトリックスで行われ、
脂肪酸からアセチルCoAが生成します。
肝臓ではグリコーゲンを分解してグルコースを得ていますが、
この反応はβ酸化ではありません。
選択肢5
5 キロミクロンを合成して血中に分泌する。
これは誤りです。
キロミクロンを合成するのは、主に小腸上皮細胞です。
食事由来の脂質は小腸から吸収され、
小腸上皮細胞内でトリアシルグリセロールなどに再合成された後、
キロミクロンに組み込まれます。
キロミクロンはリンパ管に分泌され、その後、血中に入ります。
肝臓が合成・分泌する代表的なリポタンパク質は、
キロミクロンではなく
VLDL(very-low-density lipoprotein:超低比重リポタンパク質)
です。
VLDLは内因性脂質を末梢組織へ運びます。
