血糖値を変動させるホルモン 111回薬剤師国家試験問113の解説
111回薬剤師国家試験 問113
血糖値を変動させるホルモンの「名称 − 産生器官 − 血糖値の変動」の組合せとして、正しいのはどれか。
2つ選びなさい。

111回薬剤師国家試験 問113 解答解説
血糖値を変動させるホルモンの
「名称 − 産生器官 − 血糖値の変動」の組合せとして、
正しいのは1と3です。

以下で解説します。
選択肢1
1 アドレナリン − 副腎 − 血糖値上昇
これは正しいです。
アドレナリンは副腎髄質から分泌されるカテコールアミンです。
ストレスや運動、低血糖などによって分泌され、
・肝グリコーゲン分解促進
・肝糖新生促進
・グリコーゲン合成抑制
・インスリン分泌抑制
することで、血糖値を上昇させます。
したがって、
アドレナリン − 副腎髄質 − 血糖上昇
という組合せは正しいです。
選択肢2
2 インクレチン − 膵臓 − 血糖値上昇
これは誤りです。
インクレチンには主に以下の2つがあります。
・グルカゴン様ペプチド-1
(Glucagon-like peptide-1:GLP-1)
・グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド
(Glucose-dependent insulinotropic polypeptide:GIP)
があります。
これらは膵臓ではなく、消化管から分泌されるホルモンです。
GLP-1:主に回腸〜大腸の L細胞
GIP:主に十二指腸〜空腸の K細胞
から分泌されます。
インクレチンは食事を摂取すると分泌され、
膵β細胞に作用して、
血糖依存的にインスリン分泌を促進
します。
その結果、基本的には血糖値を低下させる方向に作用します。
選択肢3
3 インスリン − 膵臓 − 血糖値低下
これは正しいです。
インスリンは膵臓のランゲルハンス島β細胞から分泌されます。
血糖値が上昇すると分泌され、
・骨格筋,脂肪組織へのグルコース取り込み促進
・グリコーゲン合成促進
・糖新生抑制
・グリコーゲン分解抑制
・グルカゴン分泌抑制
などを介して、血糖値を低下させます。
選択肢4
4 グルカゴン − 副腎 − 血糖値上昇
これは誤りです。
グルカゴンが血糖値を上昇させるという部分は正しいのですが、産生器官が誤っています。
グルカゴンは、
膵臓のランゲルハンス島α細胞
から分泌されます。
肝臓に作用して、
・グリコーゲン分解促進
・糖新生促進
・グリコーゲン合成抑制
を起こし、血糖値を上昇させます。
したがって正しい組合せは、
グルカゴン − 膵臓 − 血糖値上昇
です。
なお、骨格筋にはグルカゴンがほとんど直接作用しないことも、
先ほどのアドレナリンとの重要な違いです。
選択肢5
5 コルチゾール − 副腎 − 低下
これは誤りです。
コルチゾールは副腎皮質の束状帯から分泌される糖質コルチコイドです。
産生器官の「副腎」は正しいですが、
コルチゾールは血糖値を低下ではなく上昇させます。
主な作用は、
・肝臓での糖新生促進
・筋肉でのタンパク質分解促進
です。
さらに、コルチゾールは、
筋肉や脂肪組織におけるインスリンの働きを抑える(インスリン抵抗性を高める)作用もあります。
したがって正しくは、
コルチゾール − 副腎皮質 − 血糖上昇
となります。
アドレナリンやグルカゴンはcAMPなどを介して既存の酵素をすばやく活性化するのに対し、
コルチゾールは脂溶性ステロイドホルモンなので、
細胞内のグルココルチコイド受容体に結合し、核へ移行して遺伝子転写を調節します。
そのため、作用発現は比較的ゆっくりですが持続します。